今回はTI社のADコンバータ、ADS1015を使ってRaspberry Piでアナログ信号を読み取る方法にいて解説します。
I2C接続で簡単に使用できますのでぜひ活用してみてください。
Raspberry Pi(ラズベリーパイ)とは
Raspberry Pi(ラズベリーパイ)はイギリスのラズベリーパイ財団が教育用に開発したボードコンピュータです。
最新のRaspberry Pi 4では、ARMアーキテクチャを採用したBroadcom製の高性能SoC BCM2711を搭載しており、1.5GHzで動作するARM Cortex-A72が4コアとマイコンボードの中では非常に高速な処理能力を持っています。また、ユーザーがアクセス可能な40ピンのGPIOも搭載しており、外部ハードウェアを制御することが可能です。
詳細なスペック等は以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
ADS1015 ADコンバータ
今回使用するADコンバータはTI(テキサスインスツルメンツ)が製造、販売しているADS1015を搭載したADCモジュールです。
ADS1015を搭載したADCモジュールはAmazonで安価で入手することができます。
ADS1015 ADコンバーター I2C ラズパイ 電子工作 に 12bit 4入力 アナログ→デジタル変換
アナログ入力を4チャンネル使用でき、分解能は12bitとなります。
接続はI2Cのシリアル通信となります。
電源電圧 | 2.0V〜5.5V |
チャンネル数 | シングルエンド4ch 差動2ch |
分解能 | 12bit |
接続 | I2C |
AD変換の詳細については以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
ハードウェアの接続
こちらがADS1015モジュールの写真です。
ADS1015の基板の背面には各端子の信号名が記載されています。
この信号名を元に以下のようにRaspberry Piとの配線を行いました。
今回はテスト的にADS1015のA0のチャンネルに、Raspberry PiのGPIO5(Pin No 29)を接続します。そして、GPIO5番ピンのデジタル信号をON/OFFし、電圧値が正しく読み取れるかを実験します。
すごしごちゃごちゃとしていますが、以下の画像がADCとRaspberry Piを配線した様子です。
ライブラリ
今回は直接I2Cにアクセスするのではなく、AdafruitのPythonライブラリを使用してADCにアクセスします。
Adafruit社はRaspberry PiやArduinoなどのマイコンの周辺モジュールを多数開発、販売しているメーカーで、今回使用するADS1015用に無料公開しているライブラリがそのまま流用できます。
使用するライブラリ
AdafruitのADS1015で使用できるライブラリのリポジトリは以下となります。
インストール
プロンプトで以下のコマンドを実行し、ライブラリをインストールしてください。
sudo pip install adafruit-ads1x15
I2Cでの通信
Rapsberry PiとADS1015がI2Cで正しく通信できているかの確認を行います。
Raspberry Piの設定
Raspberry Piの設定画面で「インタフェース」の項目の「I2C」がデフォルトではOFFとなっているため、ONに変更します。
接続確認
ADS1015が正しくI2Cバスで接続できているかを確認します。
プロンプトで以下のコマンドを実行します。
i2cdetect -y 1
以下のようにアドレスが表示されれば正しく通信できています。
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 a b c d e f
00: -- -- -- -- -- -- -- --
10: -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
20: -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
30: -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
40: -- -- -- -- -- -- -- -- 48 -- -- -- -- -- -- --
50: -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
60: -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
70: -- -- -- -- -- -- -- --
GPIOライブラリのセットアップ
今回テスト用の信号としてRaspberry Piに搭載されているGPIOから出力した信号を使用します。
PythonのプログラムからGPIOへアクセスするためのライブラリ、pigpioを事前にセットアップしておいてください。
セットアップ方法は以下のページで解説しています。
作成したソースコード
今回はADS1015を使ったアナログ信号の取り込み処理の作成にあたり、以下のサイトを参考にさせて頂きました。
こちらが作成したソースコードです。
GPIOの5番ピンから出力した信号をADS1015の入力チャンネルに接続してAD変換をして取り込みます。
pigpioのwriteメソッドで5番ピンの出力状態を変更します。(23行目)
5番ピンがOFFの時は0V、ONの時は3.3Vが出力されます。
import time
import Adafruit_ADS1x15
import pigpio
#GPIOを初期化
#使用するピン番号を指定
pin1 = 5 #GPIO5番ピンを指定
pi = pigpio.pi()
pi.set_mode(pin1, pigpio.OUTPUT) #ですと信号を出力するピンを設定
#ADS1015を初期化
ads = Adafruit_ADS1x15.ADS1015()
GAIN = 1 #ゲインを1(±4.096V)に設定
RANGE = 4.096 * 2
UNIT = RANGE / 4096
#ADSのアナログ入力ピン指定
ads1015_pin = 0 #ch0を設定
#ADで読むための信号を出力
pi.write(pin1, 0) #ON→3.3v , OFF→0V
#ADC読み出しを100回ループ
for i in range(100):
data = 0
volt = 0
#ADS1015からデータを読み出し
data = ads.read_adc(ads1015_pin, gain=GAIN)
#電圧値を計算
volt = data * UNIT
print("受信データ:" + str(data))
print("電圧 :" + "{:.3f}".format(volt))
#0.5秒待機
time.sleep(0.5)
print("done.")
発生したエラー
私の環境ではPyhonプログラム実行時に以下のようなエラーが発生しました。
raise RuntimeError('Could not determine default I2C bus for platform.')
RuntimeError: Could not determine default I2C bus for platform.
Adafruitのライブラリ内でI2Cのバスが検出できないというエラーのようです。
以下のサイトを参考に修正した結果、解消できました。
エラーの解消方法
以下のディレクトリにあるAdafruitのライブラリのファイルを修正します。
/home/pi/.local/lib/python3.9/site-packages/Adafruit_GPIO
テキストエディタで問題のライブラリのファイルを開きます。
sudo nano /home/pi/.local/lib/python3.9/site-packages/Adafruit_GPIO/I2C.py
ファイルを開くと「get_i2c_device」という関数が定義されている箇所がありますので探してください。
以下のようにif文とその下の行をコメントアウトし、戻り値returnで実行している「Device」という関数の第2引数の値を「1」に変更します。
以上で修正は完了です。
これで私の環境では問題なく使用できるようになりました。
実行結果
まずpigpioを起動するため、プロンプトで以下のコマンドを実行します。
sudo pigpiod
先ほどのPythonプログラムを実行します。結果は以下のようになりました。
GPIO5番ピンがOFFの時は0Vが出力されていますので、ADS1015で読み取ったアナログ信号もほぼ0Vと表示されいます。
続いてGPIO5番ピンをONにした場合です。
GPIOからは3.3Vが出力されていますので、ADS1015で読み取ったアナログ信号もほぼ3.3Vとなっています。
アナログ信号をADS1015で正しく読めていることが確認できました。
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まとめ
今回はTI社のADC、ADS1015を使ってRaspberry Piでアナログ信号を読み取る方法について解説しました。アナログ信号を扱うことで多くのセンサーなどと接続することができますので、ぜひ活用してみてください。
また、以下の記事で効率的にPythonのプログラミングスキルを学べるプログラミングスクールの選び方について解説しています。最近ではほとんどのスクールがオンラインで授業を受けられるようになり、仕事をしながらでも自宅で自分のペースで学習できるようになりました。
スキルアップや副業にぜひ活用してみてください。
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それでは、また次の記事でお会いしましょう。
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