Raspberry Pi 5はその高性能と拡張性から、さまざまなプロジェクトに活用されています。
その中でも、M.2 SSDを利用することで、高速で大容量なストレージを追加できる点は大きな魅力です。本記事では、Raspberry Pi 5でM.2 SSDを有効化し、ストレージとして活用する手順を解説します。
準備するもの
必要なハードウェア
- Raspberry Pi 5本体
- M.2 SSD(NVMe互換のもの)
- M.2 SSD拡張ボード(PIP設計ガイドライン準拠)
- 高品質な電源(5.1V 3A以上推奨)
- 冷却システム(ヒートシンクまたはファン)
今回は動画ストリーミングのアプリケーションでも使用するためRaspberru Piの8GB版を用意しました。
必要なソフトウェア
- Raspberry Pi OS(最新版、64-bit推奨)
- コマンドツール(
lsblk
,fdisk
,mkfs
など)
Raspberry Pi 5にM.2 SSDを取り付ける手順
- 拡張ボードを取り付ける
- Raspberry Pi 5のPCIeスロットに拡張ボードを接続します。
- ネジでしっかり固定し、接触が確実であることを確認してください。
- M.2 SSDを装着する
- 拡張ボードのM.2スロットにSSDを挿入し、固定用ネジで締めます。
- 注意: デバイスに合ったインターフェース(NVMe)であることを確認してください。
- 冷却システムを設置
- 高負荷時の発熱を防ぐため、ヒートシンクまたはファンを取り付けます。
今回はRaspberru Pi 5のPCIe2.0の高速バスでデータ転送を行うためNVMe対応のSSDを用意しました。
NVMeとPCIeを有効化する方法
/boot/config.txt
の設定
PCIeとNVMeを有効化するには、以下を/boot/config.txt
に追加します:
sudo nano /boot/config.txt
以下を追記してください:
dtparam=pciex1
dtparam=nvme
設定を保存してRaspberry Piを再起動します:
sudo reboot
SSDをフォーマットしてマウントする手順
SSDが認識されているか確認
以下のコマンドでSSDを確認します:
lsblk
結果に/dev/nvme0n1
や/dev/nvme1n1
が表示されれば、SSDが認識されています。
pi@raspberrypi:~ $ lsblk
NAME MAJ:MIN RM SIZE RO TYPE MOUNTPOINTS
mmcblk0 179:0 0 58G 0 disk
tqmmcblk0p1 179:1 0 512M 0 part /boot/firmware
mqmmcblk0p2 179:2 0 57.5G 0 part /
nvme0n1 259:0 0 238.5G 0 disk
nvme1n1 259:1 0 238.5G 0 disk
パーティションの作成
fdisk
を使用してパーティションを作成します:
sudo fdisk /dev/nvme0n1
手順: 新しいパーティションの作成
n
を入力して新しいパーティションを作成Command (m for help): n
- ここで新しいパーティションを作成するためのコマンド
n
を入力します。
- パーティションの種類を選択
Select (default p): p
- プライマリパーティションを作成する場合は
p
を入力します(p
がデフォルトのためそのままEnterキーでもOKです)。
- パーティション番号を指定
Partition number (1-4, default 1):
- パーティション番号を選択します(デフォルトで1が選択されるためそのままEnterキーでOKです)。
- 最初のセクタを指定
First sector (2048-..., default 2048):
- デフォルトの値で問題ないため、そのままEnterキーを押します。
- 最後のセクタを指定
Last sector, +/-sectors or +/-size{K,M,G,T,P} (default ...):
- デフォルト値を使用するか、特定のサイズを指定します(例:
+20G
と入力して20GBのパーティションを作成)。
パーティションテーブルをディスクに書き込む
- 変更を保存
Command (m for help): w
w
を入力して、パーティションテーブルをディスクに書き込みます。
fdisk
を終了- 変更がディスクに保存され、
fdisk
を終了します。
- 変更がディスクに保存され、
ファイルシステムのフォーマット
パーティションにファイルシステムを作成します(例: ext4):
sudo mkfs.ext4 /dev/nvme0n1p1
マウントポイントの作成とマウント
マウントポイントを作成:
sudo mkdir -p /mnt/ssd1
SSDをマウント:
sudo mount /dev/nvme0n1p1 /mnt/ssd1
マウントの確認
SSDが正しくマウントされているかを確認します。以下のコマンドを実行してください。
lsblk -o NAME,FSTYPE,SIZE,MOUNTPOINT
各SSD名とマウントポイントのパスが表示されたら成功です。
NAME FSTYPE SIZE MOUNTPOINT
mmcblk0 58G
tqmmcblk0p1 vfat 512M /boot/firmware
mqmmcblk0p2 ext4 57.5G /
nvme0n1 238.5G
mqnvme0n1p1 ext4 238.5G /mnt/nvme0
nvme1n1 238.5G
mqnvme1n1p1 ext4 238.5G /mnt/nvme1
性能をテストする
最後にSSDの読み出し速度のテストを行います。
計測したいSSDに対して以下のコマンドを実行します。
sudo hdparm -tT /dev/nvme0n1
sudo hdparm -tT /dev/nvme1n1
以下のようにキャッシュとバッファディスクの読み出し速度が表示されます。
/dev/nvme0n1:
Timing cached reads: 7082 MB in 2.00 seconds = 3543.49 MB/sec
Timing buffered disk reads: 1292 MB in 3.00 seconds = 430.42 MB/sec
/dev/nvme1n1:
Timing cached reads: 6508 MB in 2.00 seconds = 3255.76 MB/sec
Timing buffered disk reads: 1292 MB in 3.00 seconds = 430.67 MB/sec
自動マウントの設定で快適に使う
/etc/fstab
の編集
再起動時に自動的にSSDをマウントするよう設定します:
sudo nano /etc/fstab
以下を追記します:
/dev/nvme0n1p1 /mnt/ssd1 ext4 defaults 0 2
保存して終了後、再起動してマウントが有効か確認します。
SSDを活用したおすすめのプロジェクトアイデア
Raspberru Piに高速なSSDストレージを搭載することでSDカードだけでは実現が難しい様々なアプリケーション開発が可能になります。
データベースアプリケーション
M.2 SSDの高速ストレージを活用して、効率的なデータベースアプリを構築しましょう。
AI/機械学習用ストレージ
SSDの高速性を活かして、モデルやデータセットの保存と処理をスムーズに行えます。
メディアセンターの構築
Raspberry Piをメディアサーバーとして使用し、高速な動画ストリーミング環境を作成できます。
8. まとめ
本記事では、Raspberry Pi 5でM.2 SSDを有効化し、快適に使用するための手順を解説しました。SSDを活用することで、Raspberry Piの性能を最大限に引き出すことができます。ぜひ、次のプロジェクトに役立ててみてください!
それでは、また次の記事でお会いしましょう。
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