今回はRaspberry Piを停電によるシャットダウンから守るUPSとして使用できるPiPowerについて解説します。
PiPowerはSunFounder社から発売されているUPSキットで、簡単に組み立て、Raspberry Piに接続することができ、急な停電時でもストレージのデータの破損から保護することが可能です。
また、バッテリーの保護回路を搭載していますので、リチウムイオン電池を安全に使用できます。
- PiPowerの概要と特徴
- PiPowerの入手先
- PiPower接続時の動作
Raspberry Piの様々な活用方法について以下のページで解説していますので、あわせてご覧ください。
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UPS(無停電電源装置)とは
UPS(無停電電源装置)は、電力供給が不安定または停止した場合に備えて、重要なコンピュータシステムや他の電子機器を保護するための装置です。
UPSの機能
UPSの役割は以下のようなものがあります。
- 電力のバックアップ: 電力供給が途絶えた場合に、一定時間、電力を供給し続けることができます。これにより、突然の停電時でも機器が安全にシャットダウンできるようになります。
- 電圧の安定化: 電圧の変動やサージ(電圧の急激な上昇)から機器を保護します。これにより、機器の寿命を延ばし、データの損失や損傷を防ぐことができます。
UPSのメリット
既存のシステムにUSPを導入することで以下のようなメリットがあります。
- データ保護: 停電や電力の断絶によるデータ損失を防ぎます。
- 機器の保護: 電圧の不安定やサージから機器を守り、長期的な信頼性を確保します。
- 作業の継続性: 停電時でも一定時間、作業を続けることができ、生産性の低下を防ぎます。
- 安全なシャットダウン: 電源が失われた場合でも、システムを安全にシャットダウンする時間を提供します。
- ネットワークの安定性: サーバーやネットワーク機器が常に稼働し続けることを保証し、ビジネスの連続性を支えます。
これらの機能とメリットにより、UPSはビジネス環境や重要なインフラにおいて不可欠な役割を果たしています。
Raspberry Pi用 UPS SunFounder PiPowerとは
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本記事は製品をSunFounder様よりご提供頂き作成しています。
PiPowerはSunFounder社が開発、販売をしているRaspberry Pi 4, 3および全てのModel B/B+シリーズと互換性があるUPS(無停電電源装置)モジュールです。
パススルー充電技術により、Raspberry Piを駆動しながら、同時にバッテリーパックを充電できます。
バッテリー保護技術も備え、過充電/過放電保護、バランス充電、過熱保護をサポートしています。
PiPowerの保護回路により、バッテリーを安全に使用できます。
UPSモジュールは5V/3Aの出力があり、バッテリーは最大5V/2Aで充電可能です。
バッテリー容量は7.4V 2000mAhで、バッテリー駆動時間は約3〜4時間です。
PiPowerの入手先
SunFounder公式ページ
PiPowerは以下のSunFounder公式ページで購入できます。(日本にも発送してもらえます)
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Amazon
PiPowerはAmazonでも購入できます。
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PiPowerのI/O仕様
PiPowerにはいくつかのピンヘッダーが用意されており、電源の状態を外部に出力することができます。
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PiPowerのピンアサイン
PiPowerのピンアサインは以下のようになっています。
Name | Function | Description |
---|---|---|
GND | アース入力 | |
BT_LV | バッテリー電圧ピン | このピンの電圧はバッテリー電圧の1/3に等しい。 |
IN_DT | 入力検出ピン | USB電源入力があるかどうかを判定する。もしそうなら、このピンはHiを出力する。 |
CHG | 充電状態ピン | 充電中はこのピンHiを出力。 |
LO_DT | バッテリー低電圧状態ピン | 通常状態ではこのピンはLowを出力。低バッテリー電圧が検出されると、このピンはHiを出力。 |
EN | スイッチ信号ピン | このピンをアースに設定するとPiPowerがオフになり、このピンはオンボードスイッチがオンのときのみアクティブになる。 |
GND | アース入力 | |
LED | 電源インジケータピン | 電源オン時に5Vを出力するが、外部LEDを接続する際には中間に電流制限抵抗を追加する必要がある。 |
GND | アース入力 |
SunFounder PiPowerのパッケージ
ここからは、実際にPiPowerのパッケージの内容を見ていきます。
まずこちらが外箱です。
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箱裏面。
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こちらがパッケージの中身になります。
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こちらがPiPowerのメイン基板、電源の制御回路になります。
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基板の裏面。こちら側にピンヘッダをはんだ付けして使用します。
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こちらがUPSとして使用するバッテリー本体です。
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SunFounder PiPowerのの組み立て
ここからは組み立て方法について解説していきます。
部品点数が少なく、シンプルな構造であるため、誰でも簡単に組み立てが可能です。
まず、先ほどの電源制御回路が搭載された基板の四角い枠がプリントされている面を上にし、付属の両面テープを貼り付けます。
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そして、バッテリー本体を両面テープで貼り付けます。バッテリーの配線は、基板の白いコネクタに接続します。
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基板にスペーサを取り付け、PiPowerの文字が印刷されたアクリルプレートを固定します。
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ユニットを反対にひっくり返し、4つのスペーサーを取り付けます。
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スペーサーの上にRaspberry Pi を載せ、付属のビスで固定します。その後、付属の電源ケーブルを接続すれば組み立て完了です。
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組み立て後はこのように三段構造になります。
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停電時の自動シャットダウン機能
自動シャットダウン機能を使用する場合は、電源の状態を監視するために、PiPowerの基板と配線する必要があります。
こちらはPiPowerの基板にピンヘッダをはんだ付けした状態の写真です。
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以下のようにPiPowerの基板と、Raspberry Pi のGPIOを接続することで、停電時にRaspberry Pi を自動シャットダウンすることが可能になります。
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自動シャットダウン機能を使用したい場合は以下のように配線してください。
PiPower | Raspberry Pi |
---|---|
IN_DT | GPIO17 |
CHG | GPIO18 |
LO_DT_PIN | GPIO27 |
GND | GND |
Raspberry Pi側の監視ソフトウェアは、以下のページに従ってインストールしてください。
SunFounder PiPowerの機能を確認(動作テスト)
PiPower経由で電源を投入
PiPowerとRaspberry Piを接続した状態で電源を投入すると、PiPowerの基板上の赤いLEDが点灯します。
しかし、この状態ではまだRaspberry Pi側には電源は供給されていません。
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PiPowerの基板のスイッチ(写真左赤枠)をONにすると、緑色のLEDが点灯してRaspberry Pi側に電源が供給されます。
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停電状態での動作検証
ここからは実際に停電時にUPSが動作するかを確認します。
今回の動作テストでは、同じくSunFounder社から販売されているPironmanというケースに格納されたRaspberry PiをPiPowerに接続してテストします。
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Pironmanについては以下のページで解説していますので、あわせてご覧ください。
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停電時の動作
実際にPironmanのRaspberry Piが動作中に、電源のスイッチをOFFしてみた動画です。
”カチッ”という音で電源がOFFされた後も、変わらずRaspberry Piは動作し続けています。
Raspberry Piの動作中はPironmanのLEDも点灯していますのでわかりやすいかと思います。
このように停電時でも変わらずRaspberry Piは動作し続けることができるため、サーバーとしての運用でも有効です。
まとめ
今回はSunFounder社から発売されているRaspberry Pi用UPS、PiPowerについて解説しました。
Raspberry Piは、24時間365日連続で稼働させることが可能であるため、サーバーやIoTデバイスとして使用されています。
そのようなシステムを運用する際の冗長性を確保する手段として、PiPowerは非常に有効であることが確認できました。
このような用途にRaspberry Piを使用している方は、ぜひ活用してみてください。
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それでは、また次の記事でお会いしましょう。
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